近野電機・近洋ラジエータ 新館

姫サーのオタです。いちおうネット屋

記憶の海に潜る

わたしたちは概して、余計なことばかり詳細に憶えているものだけど、
それさえ自分の主観というかバイアスがかかっている。と感じた体験。

数日前。
西早稲田交差点のバス停のところでバスを待ちながら脳内会議をしていると、
突然ある映像が頭の中に浮かんだ。

それは昔観た音楽番組の演奏シーンだ。
大正ロマンというかジャポニズム趣味の入った素敵な内装のこぢんまりとしたホールで、椎名林檎が歌っている。
また、別の放送回では、同じ場所でトータス松本が歌っている。

この場所はどこだろう。豪華なシャンデリアが印象的な小ホール。
有名な建物の一室だった気がする。何だったっけ。猛烈に気になった。

だが思い出せない。底なし沼のような頭の中を必死でかきまわす。
しだいに、この"画"が伴っていた記憶がずるずると出てきた。
1.これは自分がまだ実家にいた頃(至2008年3月末)のTV番組。
2.深夜に近い時間帯。父親がその場にいた記憶があるので、土日の可能性が高い。
3.この建物は重要文化財か何かで、港区にある。漢字の名前がついているハズ。(母談)
4.会場のことも含め、この番組に出演できるのは割と名誉なことらしい。(母談)

港区…港区赤坂…赤坂…赤坂離宮じゃないの!?

たぶんそれだッ!
わたしはバス接近情報のページを、新しい検索窓に切り替えた。

ところが、それらしい検索結果が一件も見つからない。
赤坂離宮迎賓館のデータはたくさん出てくるが、ここで歌謡曲系の歌番組が収録されたという情報は皆無だ。
写真も見たが、記憶の中のホールよりずっと豪華絢爛である。しかも重文どころか国宝らしい。
こんなところに照明機材やら何やら持ち込んで、ライブなんてできるのだろうか。
いや、ダメだろう。おそらく赤坂離宮は勘違いだ。

こうなったら"テレフォン"だ。
D
ちなみに"オーディエンス"はtwitterの皆さんにフルシカトを喰らった。
かつて旧赤坂プリンスホテル「飛天の間」をわたしに教えてくれた、母に電話してみた。

母「その番組自体わからない。それに赤坂迎賓館なんかは、気軽に利用できないと思うけど」
同感だ。というわけで一応父にも聞いてみる。
父「う〜ん。○×※(番組名)とか@*#(番組名)とかは違うの?ママの方がテレビっ子やろ。ママに聞いてみなさい」


ギブアップ。強いキーワードが足りない。

たしかにgoogle先生は何でも知っているし、何でも教えてくれる。
でも、彼は自分の持つ情報について、何一つ憶えていない。
コンシェルジュではなくて、電子辞書なのだ。
聞かれたことに対して、毎回帳簿をひっぱり出してきて保管場所を示してくれるだけだ。
むしろ彼の仕事は、何という情報を請求されたかをしっかりと記憶しておくことにあるといえる。

というわけで暗礁に乗り上げてしまった。

調べる方法もなくなり、ついに「土日深夜の歌番組でシャンデリアが」
というロングセンテンスを突っ込む大変頭の悪い検索もしてみたが、やっぱりだめだ。
ここは最終手段だ。
Yahoo!ゴミもとい知恵袋で生身の人間に聞いてみるしかない。
捨てIDを取得するかどうしようか。めんどくさいなあと思っていると、

検索結果の本文の中のある単語が目にとまった。
僕らの音楽
初見の単語だったが、どこかで聞いた気がする。
もしや昨日父が早口でつぶやいていた番組って、これのことでは…!

まさかとは思いながら画像検索をしてみると、
的 中 !
こ れ だ キタ━(゚∀゚)━!


これでした。


うわああスッキリした、よかった。パパありがとう。
しかし意外にこのホール、ショボかった。
素敵な会場ではあるものの、記憶の中のイメージよりもずっとカジュアルでシンプルだった。
あのヘチマのような形をしたバカラだと思っていたシャンデリアも、
フランフランの天井から下がっているようなカワイイやつではないか。

そして問題のロケ地だが、何とお台場フジテレビの中のスタジオらしい。
赤坂離宮ではないにせよ、せめてどこか有名ホテルのバンケットホール
だろうと思っていたわたしは妙に残念な気持ちになった。
お母さん、確かに赤坂か青山の何某ってところだよって言ってたのになあ。。


それにしても、人間の記憶とは非常に主観的でいい加減なものだ。
実際に観た映像であっても、自分流の解釈を加えて、
しかもいい感じに自然な形に編集して記憶してしまうのだから。


参考:フジテレビ『僕らの音楽』